仙台高等裁判所秋田支部 昭和26年(う)22号 判決
なるほど、原審第二回公判調書によれば、本件の被害者である佐々木与一は、原審公判廷において、昭和二五年八月中旬頃、被告人から丸太代金の催促をうけた折金がないから待つてくれ、冗談半分に自転車でもよかつたら持つて行けといつたと証言しているがそれは同証言に明らかなとおり冗談にすぎないのであるばかりでなく、被告人が真実代物弁済として自転車を受領するのであれば、その話の出た折受領すべきが当然であるにも拘らず、その挙に出でずその後十日近くも経過した頃の夜中の十二時頃に佐々木与一方から断りなく運び出し、しかもこれを三日程、附近の小学校の薪小屋にかくしておいたことは、原審公廷において被告人の供述するところであり、また被告人は、司法警察員及び検察事務官に対し判示事実を自供しているのであるから本件について窃取の意思がなかつたとの主張は採用し得ない。